日本国内におけるドローン物流の事例を時系列で整理した。2016年の初期実証実験から始まり、郵便局や企業による本格的な実証、都市部での連携実験を経て、2022年以降は社会実装が進んでいる。


初期実証実験(2016–2017年)

2016年4月 – 秋田県仙北市(プロドローン・NICT)

市内の小中学校間で図書輸送の実証実験を実施した。全天候型ドローン(Prodrone PD6-AW)に計約1kgの書籍を搭載し、西明寺小→西明寺中(約1.2km)を約10分で自動航行配送した。児童が見守る中、機体は自動航行かつ経路設定で民家を避けた飛行を行い、地上車両による横断監視など安全対策を実施した。

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2016年5月 – 千葉県御宿町(楽天)

楽天グループがゴルフ場(Camel Golf Resort)でゴルファー向け配送を実施した。専用アプリで注文した飲料やスナック、ゴルフ用品をプレーエリア指定地点にドローンで届けるサービスを2016年5月から17年11月まで不定期に提供した。

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2016年11–12月 – 福岡県能古島(NTTドコモ・MIKAWAYA21・エンルート)

携帯通信を利用する「セルラードローン」を活用し、能古島と九州本島(姪浜)間(約2.5km)で高齢者向け買物代行配送実証を実施した。電話注文を受けた日用品を島内の利用者宅へドローン配送し、通信環境下でのBVLOS飛行の実現性を検証した。

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2017年10月 – 福島県南相馬市小高区(楽天・ローソン)

東日本大震災後に解除された小高区で、楽天とローソンが住民向け配送実証を実施した。ローソン小高店から小谷集落センターまで、住民からの注文品(日用品等)をドローンで運搬した。2017年10月~翌3月に週1回程度の頻度で飛行し、離島や山村とは異なる震災復興途上の物流支援モデルを検証した。

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2018–2019年:郵便局・企業による本格実証

2018年11月 – 福島県南相馬市・浪江町(日本郵便)

小高郵便局~浪江郵便局間(約7km)でドローン郵便輸送を開始した。国交省による補助者なし目視外飛行(L3)承認を得て、郵便物やチラシを定期的に搬送した。県・市町村と連携し、福島ロボットテストフィールド内での無人環境を活用して実施した。

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2018年12月 – 岡山県和気町(ファミリーマート等)

和気町中心市街地「和気ドーム」の駐車場から津瀬地区(約10km)への生活物資配送実験を実施した。AeroG-Lab社の大容量VTOL機(AeroRange2)を用い、主に河川上空を経由して日用品等を輸送した。実証は12月1日~14日、午前9時~16時に行われ、陸路で通常行う配送をドローンで代替しうるか検証した。

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2019年3月 – 東京都奥多摩町(日本郵便)

奥多摩郵便局から山間集落(峰集落)への個人宅宛て配送試行を実施した。奥多摩局から約2km先の峰集落生活改善センターまで郵便物をドローンで輸送し、集落内では車体配送ロボットへ荷物を受け渡す連携モデルを検証した。急峻地形・冬季凍結路面という課題への対応策を模索し、将来的な定常運用の可能性を探った。

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2019年7月 – 神奈川県横須賀市猿島(楽天)

西友LIVIN横須賀店から猿島への物資配送実験を実施した(楽天ドローンが担当)。観光客向け商品を船を使わずドローンで運び、無人島観光地への物流モデルを検証した。

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2020–2021年:都市部・連携実験

2020年3月 – 東京都奥多摩町(日本郵便)

「ラストワンマイル配送」の試行を実施した。集落から郵便局まで数十kmかかる奥多摩地区で、奥多摩フィールド(旧小学校)から峰集落への郵便配送を試み、飛行時間やコストを検証した。

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2021年11月 – 東京都港区竹芝(JR東日本・KDDI・JAL等)

ウォーターズ竹芝から浜離宮庭園(都立庭園)へのフードデリバリー実験を実施した。ACSL製のPF2無人機(ペイロード2.75kg、航続35分)を使用し、建物4階テラスから地上へ飲食物を配送した。アプリ注文による注文フローや冷凍・温熱コンテナ運用、L4飛行技術を検証し、3往復の飛行で顧客に商品を届けた。

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2021年12月 – 東京都奥多摩町(日本郵便)

ドローン(UAV)と自動配送ロボット(UGV)の連携配送実験を開始した。奥多摩郵便局から奥多摩フィールドまで空輸し、現地で配送ロボットに荷物を受け渡し、集落内の戸宅前まで配送する方式を検証した。これにより登山者の多い奥多摩地域での無人物流ネットワーク構築を目指した。

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2021年12月 – 千葉県千葉市幕張(JP楽天ロジスティクス)

大規模災害想定の救援物資配送実験を実施した。幕張新都心の105m超高層マンション屋上へ、千葉市内物流センターから医薬品・救急箱をドローンで届けた。東京湾上空約12kmを17分で飛行し、CIRC製機体(最大積載7kg)が屋上ヘリポートに着陸。住民の受け取りまでの一連のプロセスを確認し、都市部での救援物流可能性を示した。

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2022~現在:社会実装と最新事例

2022年2–3月 – 長崎県五島市(ANAHD・五島市・そらや・長崎大)

五島列島の離島間無人物流実証(五島市ドローンi-Land事業)を実施した。福江島(福江港)から久賀島・椛島の診療所・漁協前まで、日用品(スーパーマーケット商品)と処方箋医薬品(模擬品)をACSL製マルチコプター(積載4–5kg)で配送した。地域住民が本土と同様に薬・物資を受け取れる仕組みと、地元人材による運航体制を構築し、実運用可能性を検証した。

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2023年3月24日 – 東京都内(日本郵便)

第三者上空(有人地帯)を含む補助者なし目視外飛行(L4)で郵便物配送を日本初実施した。都内奥多摩の飛行経路でレベル4飛行を成功させ、都市部での無人配送実現に向けた技術を進展させた。

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2023年12月 – 東京都檜原村(KDDI・日本航空・JR東日本・ウェザーニューズ等)

檜原診療所~老人ホーム(ふれあいサナホーム)間(往復約4.8km)で医薬品物流実証を実施した。ACSL製PF2-CAT3機(積載1.0kg)を用い、昼間11–16時に1日3往復・1週間運用した。通信事業者連携の下でドクターコネクトによる服薬指導と連携し、通信安定性・飛行計画等の課題を明確化した。

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2024年2月~ – 鹿児島県奄美大島瀬戸内町(JAL・瀬戸内町)

瀬戸内町とJALが共同出資でドローン運航会社「奄美アイランドドローン株式会社」を設立し、2024年2月29日から住民向けサービスを開始した。YAMAHA製大型ヘリ型ドローン「FAZER R G2」を用い、加計呂麻島・請島・与路島などの二次離島へ医療品や日用品を定期配送する。災害時の緊急物資輸送も想定し、離島モデルとして町全域の物流インフラ化を図る。

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2020年代 – ソニー系エアロセンス等

沖縄県(石垣島・竹富島)、福岡県(玄界島)、北海道(旭川医大ほか)などでも医薬品配送実証を実施している。自治体・大学と連携し、離島・過疎地で緊急医薬品輸送の運用モデルを検証している。

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参考リンク一覧

初期実証実験(2016–2017年)

2018–2019年:郵便局・企業による本格実証

2020–2021年:都市部・連携実験

2022年~現在:社会実装と最新事例


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