はじめに

メキシコにおけるドローン(無人航空機)の規制は、主に連邦民間航空局(AFAC: Agencia Federal de Aviación Civil)によって管理されています。メキシコのドローン規制は、特に外国人観光客にとって非常に厳格であり、飛行可能なドローンや場所が大きく制限されます。本記事では、2025 年現在のメキシコのドローン規制のポイントと、外国人旅行者が注意すべき点を解説します。

最重要:外国人観光客は 250g 未満のドローンのみ飛行可能

メキシコのドローン規制における最も重要な点は、外国人観光客はドローンを登録できないという事実です。

  • 登録義務: 重量 250g を超えるドローンは、AFAC への登録が義務付けられています。しかし、この登録はメキシコ国民または居住者のみに限定されており、外国人観光客は登録できません。
  • 結果: このため、外国人観光客がメキシコでドローンを飛行させる場合、登録が不要な 250g 未満のドローンのみをレクリエーション目的で飛行させることが実質的に可能となります。

ドローンの持ち込みと税関

メキシコに入国する際、ドローンの重量に関わらず、すべてのドローンは税関で申告が必要です。申告を怠ると、没収や罰金の対象となる可能性があります。

  • 購入証明の携帯: ドローンの購入証明書を携帯することをお勧めします。500 米ドル以上の価値があるドローンには輸入税がかかる場合があります。
  • バッテリーの扱い: ドローンのリチウムイオンバッテリーは、必ず機内持ち込み手荷物に入れてください。

250g 未満ドローンの飛行ルール(レクリエーション目的)

外国人観光客が 250g 未満のドローンを飛行させる場合でも、以下の基本的な飛行ルールを遵守する必要があります。

  • 高度制限: 地上 120m(約 400 フィート)を超えて飛行させてはなりません。一部の地域では、海抜 150m が上限とされている場合もあります。
  • 目視内飛行(VLOS): 常に操縦者の直接の視界内でドローンを飛行させる必要があります。FPV(一人称視点)ゴーグルを使用する場合でも、補助者の目視が必要です。
  • 日中のみ: 日の出から日没までの間のみ飛行が許可されています。
  • 飛行禁止区域(No-Fly Zones): 以下の場所での飛行は厳しく禁止されています。
    • 空港周辺(管制空港から 9.2km 以内、小型飛行場から 3.7km 以内、ヘリポートから 900m 以内)。
    • 軍事基地、政府庁舎、国境地帯。
    • 考古学遺跡(例:チチェン・イッツァ、テオティワカンなど)、国立公園、博物館。これらの場所での飛行は、国立人類学歴史研究所(INAH)からの高額な許可がない限り禁止されています。
    • 人混みの上空や、イベント会場。
  • プライバシーの尊重: 個人のプライバシーを侵害するような撮影は禁止されています。

商用利用について

外国人によるメキシコでのドローンの商用利用は、非常に困難です。メキシコで登録された事業体を通じて運用するか、特別な二国間協定がない限り、商用目的でドローンを運用することは一般的に許可されていません。

罰則

メキシコのドローン規制に違反した場合、非常に厳しい罰則が科せられます。これには、ドローンの没収、高額な罰金、さらには将来のメキシコへの入国拒否が含まれる可能性があります。

まとめ

メキシコでのドローン飛行は、外国人観光客にとっては非常に限定的です。250g 未満のドローンのみが現実的な選択肢であり、その場合でも入国時の申告義務や、厳しい飛行禁止区域の遵守が求められます。特に、メキシコの象徴的な考古学遺跡でのドローン飛行は厳しく禁止されているため、安易な飛行は避けるべきです。渡航前に最新の規制情報を確認し、慎重な計画を立てることが不可欠です。