はじめに

開発者が独自のドローンルート作成ツールを設計する際の参考として、主要なドローン用ルート作成アプリ各種の詳細機能と技術仕様を比較します。本記事では FlytNow、UgCS、DroneDeploy、Drone Harmony、DJI GS Pro、FlightHub 2、Litchi、Dronelink、QGroundControl、Mission Planner、および日本発の「3D Flight Planner」「3次元飛行経路作成アプリ」について、対応ドローンや地図エンジン、ウェイポイント数制限、3D 地図連携、ファイル形式、スクリプト機能、オフライン可否、SDK 提供有無などの観点を整理します。


FlytNow(FlytBase 社)

FlytBase 社が提供するクラウドベースのドローン管制プラットフォームです。

最大ウェイポイント数

特に固定の上限は公表されていません。FlytNow はミッションをクラウド経由で逐次送信・制御する形態のため、ドローンの種類に依存します。DJI 製ドローンの場合は 1 ミッションあたり最大 99 点の制限(機種による)があるため、長距離の場合は複数セグメントに分割実行となります。ArduPilot/PX4 系では自動航行メモリに依存します(数百点以上可能)。

対応ドローン・通信プロトコル

DJI 製ドローン(Mavic 3 Enterprise、M210/M300 RTK、M600 など)および Pixhawk 等の PX4/ArduPilot 系を幅広くサポートしています。DJI 機は専用アプリ・クラウド API 経由で統合し、PX4/ArduPilot 機は機載コンピュータ(Raspberry Pi や Nvidia Jetson 等に FlytOS を導入)を介して MAVLink でクラウド接続します。これにより異種プラットフォームのドローンを 4G/LTE 経由で遠隔統合管制できます。

地図エンジン

FlytNow のウェブダッシュボード上で地図表示・ルート設定を行います。ベースマップは衛星地図や航空写真を提供(詳細エンジンは非公表ですが、Mapbox もしくは Google Maps API の利用が推測されます)。地図上でポイントを指定してドローンを誘導する Go-to 機能も備えます。また **UTM プロバイダ(AirMap 等)**との連携も可能で、地図上に飛行禁止空域などを表示できます。

障害物回避方式

基本的にはドローン側のセンサーや既存の衝突回避システムとの連携に依存します。FlytNow 自体はルート自動生成時に地図上の障害物を自動検出する機能は持ちませんが、Enterprise プランでは外部の衝突回避センサーや DAA システムとの統合に対応し、BVLOS 運用に必要な Detect-and-Avoid 機能を組み込めます。加えて、**緊急 RTH や事前設定した着陸ポイント(ELP)**への退避機能もあり、異常時には安全高度への上昇(Go-to-Safe-Altitude 機能)や緊急着陸を自動実行できます。

3D 地図連携・プランニング

FlytNow 単体では高度な 3D 経路設計機能はなく、基本は 2D 地図上でのウェイポイント設定です。DEM 地形データを用いた自動対地高度維持機能などは標準搭載されていません。ただし、FlytBase プラットフォームはライブマッピング機能を提供しており、飛行中に撮影画像から即席の 2D マップを生成することは可能です。

入出力ファイル形式

ルートはクラウド上で管理されるため明示的なファイル入出力は不要ですが、KML 等のインポートには対応しており、他システムで作成した経路やポリゴンを取り込むこともできます。また、FlytNow は REST API 経由でウェイポイントリスト(JSON 形式など)を送信してミッションを登録でき、データ出力も API で座標やログを JSON/REST 形式で取得可能です。

スクリプト・自動化

非常に充実しています。FlytNow は RESTful API や MQTT 経由の OpenAPI を提供し、外部アプリケーションからドローンやミッションを制御できます。例えばスケジュール機能で定期巡回を自動化したり、Webhook で外部システムと連携して特定イベントで離陸・撮影させることも可能です。

オフライン使用可否

FlytNow はクラウドサービスであり、基本的にインターネット接続が必須です。Enterprise 向けにオンプレミス版(自社サーバ設置)も提供されており、この場合は閉域網内でクラウド同様の機能を使用できます。

開発者向け SDK/API

あり。FlytBase は FlytOS というドローン用 OS と API 群を公開しており、REST API、Websocket、モバイル SDK(Android/iOS)等を通じて飛行制御・データ取得を行えます。

参考リンク


UgCS(Universal Ground Control Software、SPH Engineering 社)

ラトビアの SPH Engineering 社が開発する高機能な GCS(Ground Control Station)です。

最大ウェイポイント数

制限なし(実質)。UgCS 自体は非常に長大なルートでも扱えます。MAVLink 系(ArduPilot/PX4)の場合、搭載 FC のメモリ上限まで(ArduCopter で約 700〜900 点程度)送信可能です。DJI 機の場合は 1 ミッション 99 点の制限があるため、UgCS は経路アップロード時に 100 点以上なら自動的に複数ミッションに分割して機体に送信します。加えて複数機体の同時制御にも対応し、一度に複数ドローンへ各自のウェイポイントミッションを割り当てて並行飛行させることもできます。

対応ドローン・通信プロトコル

非常に幅広いマルチプラットフォーム対応が特徴です。DJI Phantom/Inspire/Matrice/Mavic シリーズから、Autel EVO II/Max シリーズ(ルートを書き出して Autel アプリで実行)、Parrot(Anafi 系列)、そして Pixhawk/PX4/ArduPilot 系全般をサポート。DJI 機には**専用アプリ「UgCS for DJI」(Android)**を用いて PC 版 UgCS と接続し、DJI SDK 経由で制御します。

地図エンジン

UgCS はデスクトップアプリ上で地図表示と 3D 地形表示を行います。デフォルトではオンライン地図タイル(Google や Bing 等)を使用しますが、オフライン地図キャッシュ機能やカスタム地図(WMS/タイル地図)の導入も可能です。また独自の高度タイルサーバ(Geoserver)を内蔵し、標高データをタイルとして取得・利用します。ユーザが任意のオルソマップ(GeoTIFF)や KML/KMZ ファイルオーバーレイとして読み込み、背景に表示することも簡単にできます。

障害物回避方式

地図・標高データベースに基づく経路回避が可能です。UgCS 自体はリアルタイムの機載センサー情報を処理して回避操作を行うことはしませんが、あらかじめ 3D 地形モデルや構造物モデルを取り込んでおけば、経路作成時に自動で迂回させることができます。また DEM/DSM から突出物を検知し高度にマージンを追加する機能もあります。

3D 地図連携・プランニング形式

3D フライトプランニングが UgCS 最大の強みです。完全な 3D ビュー環境を備え、経路やウェイポイントを立体的に可視化・編集できます。地形追従飛行は高度なアルゴリズムで実装され、ユーザーは解像度(メッシュサイズ)や最大追従勾配を調整可能です。さらに、独自の DEM/DSM データをインポートして利用可能で、自前の高解像度標高モデルや都市の 3D モデルを計画に反映できます。

UgCS は点検向けに垂直面パターン飛行(ダム壁やタワーを真横から撮影する経路)、円筒/多角形囲み飛行、**コリドーマッピング(回廊飛行)**など多彩なプランテンプレートを備えています。

入出力ファイル形式

UgCS は独自のデータベースに経路情報を保存しますが、主要な地理データ形式との入出力に対応しています。

インポート: GeoTIFF(オルソ写真・DSM)、SHP(シェープファイルのライン/ポリゴン)、KML/KMZ(区域や経路)、CSV 座標一覧など

エクスポート: 作成したルートを KML 形式で出力可能で、Google Earth 上で 3D 可視化したり他の GCS に読み込ませることができます。ArduPilot 系には **.route(UgCS 専用 XML)**や **.waypoints(Mission Planner 用テキスト)**として出力できます。

スクリプト・自動化機能

UgCS 自体にユーザスクリプト機能はありませんが、外部から制御する API/SDK が用意されています。SPH Engineering は Java, .NET 向けの SDK を提供しており、UgCS のコアサーバ(UGCS サービス)にプログラムからアクセスして、ルート生成・編集・ミッション実行指示を出すことができます。

オフライン使用可否

完全オフライン対応がなされています。UgCS は PC 上にインストールして使用するスタンドアロンソフトであり、インターネット接続が無い環境でも地図データさえ用意すれば問題なく動作します。オフライン地図キャッシュ機能で事前に必要地域の地図・標高タイルを保存したり、独自に用意した地形データを読み込むことで、ネット圏外の僻地でも計画・飛行が可能です。

開発者向け SDK/API

ありJava API.NET SDK が公開されており、UgCS の Universal Control Server に外部プログラムから接続可能です。

参考リンク


DroneDeploy

アメリカ発のクラウドベースドローンマッピングプラットフォームです。

最大ウェイポイント数

DroneDeploy は自動で飛行経路を生成・分割するアプローチのため、ユーザが直接ウェイポイント数を意識する場面は少ないです。古い DJI 機では 1 ミッション 99 点制限がありますが、DroneDeploy アプリがミッションを適切に分割実行(Mission Chaining)するため、事実上の上限はありません。2022 年以降の DJI SDK では Waypoints 2.0 が導入され、DroneDeploy は最大 10,000 点規模の経路設定にも対応したとの情報があります。ただ超大規模計画時はパフォーマンス上の理由で、200 エーカー超では Terrain Awareness が無効になるなどの制約もあります。

対応ドローン・通信プロトコル

主に DJI 製ドローンに対応しています(Phantom 3/4、Inspire シリーズ、Mavic シリーズ、Matrice シリーズ等)。モバイル端末上で動作する DroneDeploy アプリが DJI Mobile SDK 経由で機体制御します。近年では Skydio 2/2+ との提携もあり、また Autel EVO II など一部他社機もβ的にサポートリストに挙がっています。しかし ArduPilot/PX4 系や自作機の直接サポートはなく、MAVLink には非対応です。

地図エンジン

DroneDeploy はクラウドプラットフォームであり、ウェブとモバイルの双方で地図を扱います。ベースマップには Mapbox の地図データを使用しており、高解像度衛星写真や道路地図を表示可能です。オフライン環境用に、モバイルアプリには事前にベースマップを端末に保存する機能があり、飛行エリアの地図タイルをダウンロードしておけば現地で圏外でも表示できます。

障害物回避方式

DroneDeploy の飛行プランナー自体に障害物検出・回避アルゴリズムはありません。基本は機体側の障害物センサーに依存し、例えば DJI ドローンなら前方障害物検知時に停止する機能が働きます。ただし Geofence(ジオフェンス)機能として、ユーザー指定の飛行禁止区域をあらかじめ設定することは可能です。

3D 地図連携・プランニング形式

DroneDeploy は長らく平面(高度一定)の航路を前提としてきましたが、**Terrain Awareness(地形認識飛行)**機能が追加されました。これを有効にすると、**事前に取得した標高データ(SRTM 等)**に基づき、ドローンが地形の起伏に沿って高度を自動調整しながら飛行します。

プランニング形式としては、2D マッピング(グリッド飛行)クロスハッチ(斜め方向の二重グリッド)エンハンスト 3D(異なる高度・角度からの複数飛行組合せ)パノラマ撮影動画撮影ルートポイント指定の 360°写真など、多彩なテンプレートが用意されています。

入出力ファイル形式

DroneDeploy ではファイル入出力は基本クラウドを介して行います。

インポート: KML/SHP ファイルをアップロードして飛行エリアのポリゴンを指定可能。GeoTIFF のオルソ画像やポイントクラウド(.las)のアップロードも可能。

エクスポート: 撮影後のマップは GeoTIFF(オルソ写真)や OBJ/Point Cloud(3D モデル/点群)としてダウンロードできます。

スクリプト・自動化機能

DroneDeploy はクラウド API と連携アプリの仕組みがあります。DroneDeploy App Market というサードパーティプラットフォームがあり、JavaScript で DroneDeploy ウェブに組み込む拡張アプリを開発できます。また Webhook/クラウド API で飛行完了通知を受け取ったり、データ処理パイプラインに組み込むこともできます。

オフライン使用可否

部分的に可です。モバイルアプリで「Make Available Offline」を選ぶと、そのプランの地図タイルが端末に保存され、現地でネットが無くても飛行できます。ただしオフライン可能なのは標準の 2D マッププランのみで、最大 10 件までオフライン保存できます。

開発者向け SDK/API

あり。DroneDeploy は GraphQL ベースの API および REST API を提供し、ユーザーの撮影データやマップ生成を外部から操作できます。

参考リンク


Drone Harmony

スイス発の 3D フライトプランニングに特化したアプリです。

最大ウェイポイント数

制約は機体依存です。Drone Harmony は DJI ドローンを前提としたアプリであり、古い機体では 99 点制限がありますが、自動的に複数ミッションに分割して実行を継続するためユーザは意識せず長大経路を飛行可能です。

対応ドローン・通信プロトコル

DJI 専用です(2023 年現在)。Phantom 4 以降、Mavic シリーズ、Inspire 2、Matrice 200/300 系など、DJI 製ドローンのほとんどに対応しています。DJI Mobile SDK を利用しているため、基本は DJI 以外の機体では使用できません(PX4/ArduPilot は非対応)。

地図エンジン

Drone Harmony はクラウド連携型で、Web アプリ(プラン設計用)とモバイルアプリ(飛行用)が同期します。地図は Mapbox ベースの 3D 地図を使用しており、Web 上で航空写真や標高を表示可能です。ユーザは**独自の地形データ(GeoTIFF の DSM/DTM)点群(LAS/LAZ)**をアップロードしてクラウドに保存できます。アップロードした点群は Web アプリの 3D ビュー上に表示され、その点群に沿ってポリゴンや経路を 3D で設計することができます。

障害物回避方式

事前のシーンモデリングによる回避が核となっています。Drone Harmony では飛行対象物周辺の構造を「シーン」としてモデル化し、その情報を使って経路を自動生成します。例えばビル点検では、建物の外周線や高さを入力すると、その形状に沿って複数高度・角度から周回する経路(Site Scan プラン)が自動生成されます。

3D 地図連携・プランニング形式

フル 3D プランニング機能が最大の特徴です。Web アプリ上で 3D モデルや点群を背景に立体的に経路設計ができ、出来上がったプランを 3D でシミュレーション(各ウェイポイント位置からの視野をプレビュー)することもできます。

プランテンプレートは非常に豊富で、水平面撮影(マッピング)複数高度の囲み撮影(サイトスキャン)円周上の斜め撮影(マッピングオービット)垂直面グリッド撮影(ファサードインスペクション)タワースキャン等、それぞれの用途に特化した自動経路生成が可能です。

入出力ファイル形式

インポート: KML でポリゴンやラインをインポートして飛行禁止エリア設定や経路下書きに利用可能。点群データは LAS/LAZ、地形データは GeoTIFF を受け付けます。

エクスポート: 飛行結果(撮影位置やログ)を CSV や KML で出力することはできます。また企業ユーザー向けにレポート出力機能があり、飛行計画や撮影枚数などを PDF 報告書にまとめるツールもあります。

スクリプト・自動化機能

Drone Harmony 自体にスクリプト言語を実行する機能はありません。代わりにクラウド同期とコラボレーション機能が充実しています。複数担当者間でプラン共有・編集ができ、オフィスで作った計画を現場で一部修正し、再度クラウドに上げて共有…といったワークフローが可能です。

オフライン使用可否

部分オフライン可です。Drone Harmony はクラウドサービスと連携しますが、一度同期したサイトデータはモバイル端末にローカル保存されるため、現場で圏外になっても読み込んで飛行できます。

開発者向け SDK/API

なし(現状)。Drone Harmony はプロプライエタリなサービスで、公開 API は提供されていません。

参考リンク


DJI GS Pro(Ground Station Pro)

DJI 純正の iPad 専用フライトプランニングアプリです。

最大ウェイポイント数

99 点/ミッション(DJI SDK 既定)です。GS Pro では 100 点以上の経路を設定すると、自動的に 99 点ごとのセグメントに分割されます。

対応ドローン・通信プロトコル

DJI 製ドローン専用(iPad アプリ)です。対応機種は Phantom 3/4 シリーズ、Inspire 1/2、Matrice 100/200/600 シリーズ、Mavic Pro/2 等、GS Pro リリース当時のモデルが中心です。残念ながら Mavic 3 や Mini シリーズには非対応(これらは DJI Pilot 2 や DJI Fly を使用)で、GS Pro は主にライトニング接続できる送信機を持つ DJI 機を対象にしています。

地図エンジン

GS Pro は Apple MapKit を使用しています。実際の背景地図には iPad のマップ(標準地図または衛星写真)を利用しており、インターネット接続時にタイルを取得します。オフラインでは、事前に閲覧した範囲はキャッシュされるものの、公式なオフライン地図モードはありません。GS Pro は 3D 地図表示非対応で、2D 平面地図上に経路を描く形です。

障害物回避方式

機体の障害物検知機能に依存します。GS Pro 自体には障害物データを持たず、また飛行中に自動経路変更はしません。GS Pro には**「バーチャルフェンス(仮想柵)」**機能があり、指定半径・高度を超えると機体が強制的に停止または RTH する設定が可能です。

3D 地図連携・プランニング形式

GS Pro は地形や 3D モデルとの連携なしの 2D プランニングです。DEM を用いた自動高度調整機能はなく、ユーザーが各ウェイポイント高度を手動設定します。

入出力ファイル形式

インポート: GS Pro は有料オプションで KML/KMZ や SHP ファイルをインポートできます。 エクスポート: 作成したウェイポイントミッションを KML に書き出す機能もあります。

スクリプト・自動化機能

GS Pro にはスクリプト機能やサードパーティ API はありません。ただし連続ミッション機能として、1 本目のミッション完了後に自動で 2 本目を開始する設定が可能です。

オフライン使用可否

限定的です。GS Pro 自体は iPad 上のアプリなので機能はオフラインでも動作しますが、地図読み込みにはインターネットが必要です。

開発者向け SDK/API

なし。GS Pro はクローズドなアプリで、外部から操作するインターフェースはありません。

参考リンク


DJI FlightHub 2

DJI のエンタープライズ向けクラウド管制プラットフォームです。

最大ウェイポイント数

FlightHub 2 はクラウド側の管制プラットフォームであり、DJI Pilot 2 アプリと連携してミッションを実行します。単一ミッションあたりのウェイポイント数は基本的に DJI Pilot 2 の仕様に準じ、99 点/ミッションが原則です。ただし FlightHub 2 では Mission Segment として複数セグメントを一続きの計画として管理でき、長距離の場合は自動で区切られて実行されます。

対応ドローン・通信プロトコル

DJI 製エンタープライズ向けドローンのみ対応です。Matrice 300/350/30 シリーズ、Mavic 3 Enterprise シリーズ、Phantom 4 RTK、Dock 専用機(Mavic 3E Dock 版)などが典型です。通信は DJI Cloud API(MQTT/REST)および Pilot 2 アプリ経由の WebSocket で行われます。

地図エンジン

FlightHub 2 の UI は Web ブラウザで提供され、2D/3D 両対応の地図エンジンを搭載しています。特徴的なのは 3D マップ機能で、クラウド上で撮影画像から 2D オルソマップや簡易 3D モデルを即座に生成し、それを地図画面に統合表示できます。

障害物回避方式

FlightHub 2 自体は衝突回避アルゴリズムを持ちません。ドローンの障害物検知(赤外線・視覚センサー)による自律回避やホバリング機能がそのまま働きます。

3D 地図連携・プランニング形式

FlightHub 2 では 3D 表示を活かしたプランニングが可能です。地図画面を 3D モードに切り替えると、地形起伏や生成された 3D モデル上でウェイポイントルートを描けます。高度設定では地形追従モードが選択でき、機体が SRTM ベースの地形モデルに合わせて高度を自動補正します。

入出力ファイル形式

FlightHub 2 はクラウドサービスのため直接ファイルのやりとりはしません。飛行ログや撮影データは FlightHub 2 Web UI からダウンロードできます。FlightHub 2 API を用いれば JSON 形式で飛行データを取得でき、他の社内システムに自動連携させることもできます。

スクリプト・自動化機能

高い自動化・統合能力があります。DJI は FlightHub 2 Cloud API(REST/OpenAPI)を公開しており、外部からミッション計画の登録・実行指示、機体やデータへのアクセスを可能としています。FlightHub 2 自体にもスケジュール機能があり、定期自動フライトを設定できます。

オフライン使用可否

可能(オンプレミス版)。DJI は 2025 年に FlightHub 2 On-Premises をリリースし、クラウド版と同等機能をローカルサーバ環境で利用できるようにしました。

開発者向け SDK/API

あり。DJI は **Cloud API(HTTP/MQTT)**という形で FlightHub 2 連携を公開しています。

参考リンク


Litchi

サードパーティ製の人気 DJI 用フライトアプリです。

最大ウェイポイント数

**無制限(実質)**です。Litchi は従来 DJI Go アプリで 99 点制限があった機種でも、99 点ごとにミッションを自動連結することで上限を突破しています。ユーザーが 10,000 点の経路を設定すると、アプリが 1〜99 点をまず送信・実行し、達成後に 100〜198 点を次のミッションとして自動アップロード…という処理を繰り返します。

対応ドローン・通信プロトコル

DJI 製ドローンに特化しています。Phantom 3/4、Mavic シリーズ(Mini/SE/2/Pro/Air 等)、Inspire 1/2、Spark、Matrice100 など、DJI GO4/DJI Fly 対応機が対象です。Mavic Mini など DJI 公式アプリでウェイポイント未対応の機体でも、Litchi は独自に Virtual Stick モードでウェイポイント飛行をエミュレートします。

地図エンジン

Litchi はモバイルアプリ上で Google Maps を利用しています。Litchi Hub(Web 版プランナー)では Google Maps API を使用しており、PC からでも経路設計が可能です。地図は 2D 表示のみで、3D 地形の表示や高度プロファイルの提供はありません。

障害物回避方式

持ち合わせていません。Litchi は経路上の障害物を検知・回避する機能はなく、ドローンの内蔵センサー任せです。

3D 地図連携・プランニング形式

Litchi には 3D 地形やモデルの連携機能はありません。高度はすべて Home(離陸点)基準の相対高度で指定します。地形起伏に合わせて自動で高度補正する機能はなく、必要ならウェイポイント毎に高度を調整するしかありません。

入出力ファイル形式

Litchi は独自の **Mission ファイル(.litchi)**をエクスポート/インポートできます。また CSV 形式でウェイポイントリストを出力・入力する機能があります。

スクリプト・自動化機能

Litchi 自体にスクリプト記述環境はありません。複数ミッションを続けて実行する機能はあります。開発者向けに API 等は提供されておらず、Litchi を他アプリから操作することはできません。

オフライン使用可否

一応可です。Litchi アプリはオフラインでも起動・飛行できます。ただし地図表示は事前キャッシュ必須です。

開発者向け SDK/API

なし。Litchi はサードパーティアプリのため、独自に外部 API を提供しておらず、他システムとの直接統合はできません。

参考リンク


高度なミッション自動化に対応したサードパーティアプリです。

最大ウェイポイント数

制限なし。Dronelink は Virtual Stick 制御をデフォルトとしており、ウェイポイントを機体に事前アップせずリアルタイムにコマンド送信します。そのため機体の SDK 制約によるポイント数上限は存在せず、上限を気にせず経路設定できるのが大きな利点です。

対応ドローン・通信プロトコル

DJI 製ドローンが主ですが、他にも限定対応があります。DJI については Phantom/Mavic/Inspire/Matrice 等幅広くサポートし、MSDK v4/v5 双方に対応しています。さらに Autel EVO II シリーズParrot Anafi にも実験的対応があります。

地図エンジン

Dronelink のウェブプランナーおよびモバイルアプリはいずれも Mapbox 地図を使用しています。3D プレビュー機能もあり、計画したミッションを 3D 視点で確認したり、撮影カメラの向きをシミュレーションすることが可能です。

障害物回避方式

Dronelink 自体にリアルタイム障害物回避ロジックはありません。ただしパラメトリックプランニングにより障害物を避ける計画をユーザが構築することは容易です。コンポーネントを駆使して障害物回避ルートを設計できるのが Dronelink の売りですが、これは事前対応です。

3D 地図連携・プランニング形式

Dronelink は高度な地形追従機能を備えます。**Terrain Follow(AGL)**モードを有効にすると、Dronelink が自動で DEM データをダウンロードし、ミッション中の各ウェイポイント高度を地表面から一定の値に保つよう調整します。

さらに**「コンポーネント」という考え方があり、例えば「上昇しながら 360°旋回」といった動きをひとまとまりの部品として再利用できます。また条件分岐ループ**も GUI 上で設定でき、特定条件下で別ルートに飛ぶなどの高度な自律フローも実装できます。

入出力ファイル形式

インポート: KML/GPX の読み込みがサポートされています。 エクスポート: Dronelink のプランはクラウド上に保存され、ミッションを共有する機能があります。

スクリプト・自動化機能

Dronelink は独自の「ミッションスクリプト」的な構築が可能です。GUI 上でブロックを組み合わせて条件分岐やループを設定できるため、プログラミング的思考で自動フローを作成できます。また Webhook 連携機能により、飛行完了時に HTTP リクエストを送るなどの仕組みも提供されています。

オフライン使用可否

部分的に可。モバイルアプリにプランをダウンロード(保存)しておけば、フィールドではオフラインで実行できます。この際、必要な地図・標高データも一緒に保存されます。

開発者向け SDK/API

なし(一般向けには非公開)。Dronelink はクローズドソースで、公式には外部 API を提供していません。

参考リンク


QGroundControl(QGC)

オープンソースのクロスプラットフォーム GCS です。

最大ウェイポイント数

制限ほぼなし(自律航法装置依存)。QGC 自体は数千点に及ぶミッションプランでも扱え、JSON プランファイルとして保存できます。実機実行時は、接続するフライトコントローラ(PX4/ArduPilot)の制約として、それぞれメモリ上限までとなります。ArduCopter では約 700 点、PX4 では機種により 150〜300 点程度が上限です。

対応ドローン・通信プロトコル

MAVLink プロトコル対応の機体全般です。代表的には ArduPilot(Copter, Plane, Rover)と PX4 のマルチコプター/飛行機が対象で、3DR Solo や Holybro Pixhawk 系など多数の自作/産業機で使われています。DJI など独自プロトコル機は対応外です。QGC はクロスプラットフォーム(Windows/Mac/Linux/iOS/Android)で、USB 直結や Telemetry Radio(915MHz 等)接続、Wi-Fi UDP 接続など様々な通信形態に対応します。

地図エンジン

QGC は QtLocation を用いており、Bing Maps をデフォルトの地図ソースにしています。ユーザー設定で Google SatOpenStreetMap などに変更可能です。またカスタム Map Tile Server の URL を登録すれば、独自地図を表示できます。オフライン地図は「Cache」機能で事前に指定ズーム範囲のタイルを保存可能です。

障害物回避方式

QGC には経路上の障害物自動検知回避機能はありません。代わりにジオフェンス衝突回避モードの設定をフライトコントローラに書き込むことができます。ArduPilot では QGC からポリゴン/円形のフェンスを編集でき、侵入禁止区域を設定可能です。

3D 地図連携・プランニング形式

QGC は地形追従機能を標準装備しています。Terrain Frame(地表面基準の高度)を指定すると、SRTM 標高データを自動取得してウェイポイント高度に反映されます。また高度プロファイル図を表示して経路全体の高度変化を確認することもできます。

プランテンプレートとしては、Survey(グリッド測量飛行)Corridor Scan(回廊撮影)、**Structure Scan(構造物周回)**などがあり、いずれも地形追従と連携します。

入出力ファイル形式

QGC は**独自の .plan ファイル(JSON 形式)**でミッションを保存します。また KML エクスポートにも対応しており、Google Earth で確認できます。MAVLink 互換のウェイポイントファイル形式も読み書きでき、Mission Planner と相互運用可能です。

スクリプト・自動化機能

QGC 自体にスクリプト機能はありませんが、MAVLink プロトコルを直接叩けるため外部ツールとの連携は容易です。MAVSDK や DroneKit など MAVLink ライブラリと組み合わせれば、独自アプリケーションからミッションを送信することもできます。

オフライン使用可否

完全オフライン対応可能です。地図キャッシュを事前に保存し、テレメトリ接続さえできれば山奥でも使用できます。

開発者向け SDK/API

QGC 自体は**オープンソース(GPLv3)**であり、ソースコードから機能拡張や独自 GCS の開発が可能です。また MAVLink を通じて他アプリケーションと連携できます。

参考リンク


Mission Planner

ArduPilot 公式の Windows 用 GCS です。

最大ウェイポイント数

ArduPilot の仕様に依存します。ArduCopter で約 700〜900 点、ArduPlane でそれ以上も可能です。Mission Planner 自体に上限はありません。

対応ドローン・通信プロトコル

ArduPilot ファームウェア搭載機専用です。Pixhawk 系フライトコントローラ、CubeOrange、Kakute 等で ArduCopter/Plane/Rover を動かす機体が対象。MAVLink 1.0/2.0 で通信します。DJI 機や PX4 機には直接対応しません(PX4 は QGC を推奨)。

地図エンジン

複数の地図プロバイダに対応しています。Google Maps、Bing Maps、OpenStreetMap、Yahoo Maps、地理院タイルなど多彩です。オフライン地図は「Map Prefetch」機能で事前にタイルをダウンロードして使用できます。またGeoTIFF のオーバーレイにも対応し、自前のオルソ画像を背景にできます。

障害物回避方式

Mission Planner では ArduPilot のジオフェンス(侵入禁止ポリゴン)やラリーポイント(緊急着陸地点)を設定できます。また ArduPilot のBendy Ruler パスプランナーSimple Avoidance機能を有効化するパラメータを GUI で設定可能です。

3D 地図連携・プランニング形式

Mission Planner には高度プロファイル表示があり、ミッション全体の地形と高度関係を確認できます。Terrain Follow 機能も対応しており、SRTM データを使って地表面から一定高度を維持する経路を作成可能です。また独自 DEM(GeoTIFF)の読み込みにも対応しています。

入出力ファイル形式

インポート: .waypoints(テキスト形式)、KML、SHP ファイルなど エクスポート: .waypoints、KML、CSV など多数の形式に対応

スクリプト・自動化機能

Mission Planner はPython スクリプトを内蔵しており、Scripts タブから Python コードを実行できます。これによりミッション自動生成や、飛行中のカスタムロジック実行が可能です。また MAVLink を通じた外部ツール連携も容易です。

オフライン使用可否

完全オフライン可です。地図キャッシュと通信手段があれば僻地でも運用できます。

開発者向け SDK/API

Mission Planner はオープンソースであり、ソースコードの改変・拡張が可能です。また DroneKit-Python や MAVSDK と組み合わせて外部から制御することもできます。

参考リンク


日本発のアプリケーション

3D Flight Planner(Jitsuta 社)

特徴: 地形を考慮した 3D 飛行計画に特化した日本製ソフトウェアです。

  • 地形追従: 国土地理院の DEM データを活用し、地形に沿った飛行計画を自動生成
  • 障害物エリア設定: 手動で障害物エリアを指定し、その範囲を回避する経路を計算
  • 出力形式: KML、KMZ、SHP、CSV に対応し、DJI GS Pro、Litchi for DJI Drones などで利用可能
  • 対応座標系: 平面直角座標、緯度経度の両方に対応

NDD 3 次元飛行経路作成アプリ(日本電気化学社)

特徴: 点群データから最適な飛行経路を自動生成する高度なツールです。

  • 点群解析: LAS/LAZ 等の 3D データ形式を読み込み、対象構造物の表面形状を解析
  • 自動経路生成: 特許出願中の技術で、構造物の形状に最適な撮影経路を自動計算
  • マルチ GCS 対応: Mission Planner、UgCS、Litchi など複数の GCS 向けにウェイポイントを出力
  • 点検特化: 橋梁、鉄塔、ダムなどのインフラ点検用途に最適化

参考リンク


主要機能比較表

アプリウェイポイント数対応ドローン地形追従障害物回避オフラインSDK/API
FlytNowDJI:99/セグメントDJI, PX4, ArduPilot×△(外部連携)△(オンプレ版あり)
UgCS実質無制限DJI, Autel, MAVLink全般○(DEM/DSM)
DroneDeploy自動分割で無制限DJI, Skydio, Autel×
Drone Harmony自動分割DJI専用○(点群)×
DJI GS Pro99/ミッションDJI専用(旧機種)×××
FlightHub 2自動分割DJI Enterprise×○(オンプレ版)
Litchi自動連結で無制限DJI専用×××
Dronelink無制限(VS制御)DJI, Autel, Parrot××
QGroundControlFC依存(数百点)MAVLink全般△(FC任せ)○(OSS)
Mission PlannerFC依存(数百点)ArduPilot専用△(FC任せ)○(OSS)
3D Flight Planner自動生成DJI, Litchi向け出力○(手動指定)×
NDD 3D経路作成点群依存マルチGCS出力○(点群解析)×

まとめ

各アプリの特徴を踏まえると、用途に応じた選択が重要です。

クラウド統合・遠隔運用に強い: FlytNow、DJI FlightHub 2

オフラインでの高度な 3D 計画: UgCS、Drone Harmony

マッピング特化: DroneDeploy

幅広い用途(ホビー〜商用): Litchi、Dronelink

オープンソースの拡張性: QGroundControl、Mission Planner

日本国内の地形・構造物点検: 3D Flight Planner、NDD 3D 経路作成アプリ

開発者が独自ツールを設計する際は、対象ドローンの通信プロトコル(DJI SDK vs MAVLink)、オフライン要件、3D 地形データの必要性、API/SDK の有無などを考慮して、参考にするアプリを選定することをお勧めします。