はじめに

地震、台風、洪水などの自然災害において、ドローンは人命救助と復旧活動に不可欠なツールとなっています。本記事では、災害対応におけるドローン活用を解説します。


災害対応での主な用途

フェーズ用途効果
発災直後被害状況の把握迅速な状況判断
捜索救助要救助者の発見人命救助の効率化
応急対応物資輸送孤立地域への支援
復旧期詳細な被害調査復旧計画の策定

被害状況の把握

活用される技術

技術用途
空撮(RGB)被害の全体像把握
赤外線カメラ火災・熱源検知
LiDAR地形変化の計測
マルチスペクトル浸水域の特定

オルソ画像の作成

複数の空撮写真を合成し、歪みのない地図を作成します。

活用例

  • 土砂崩れの範囲特定
  • 浸水被害の面積算出
  • 建物被害の一覧化

3Dモデルの作成

ドローン写真から3次元モデルを生成し、被害量を定量化します。

活用例

  • 土砂量の算出
  • 倒壊建物の体積推定

捜索救助活動

要救助者の発見

センサー検知対象条件
可視光カメラ人の姿日中・視界良好時
赤外線カメラ体温夜間・瓦礫下
スピーカー・マイク音声呼びかけ・応答

活用事例

熊本地震(2016年)

  • 用途: 土砂災害現場の捜索
  • 効果: 広範囲を短時間で確認
  • 課題: 操縦者不足

西日本豪雨(2018年)

  • 用途: 孤立集落の状況確認
  • 効果: ヘリが入れない場所を撮影
  • 機関: 国土交通省TEC-FORCE

能登半島地震(2024年)

  • 用途: 被害状況把握、物資輸送
  • 効果: 道路寸断地域への対応
  • 機関: 自衛隊、民間企業

物資輸送

輸送可能な物資

物資重量目安優先度
医薬品〜5kg最優先
食料・水〜30kg
通信機器〜10kg
毛布・衣類〜20kg

輸送実績

事例: 孤立集落への医薬品輸送

  • 場所: 能登半島
  • 距離: 約10km
  • 輸送量: 医薬品5kg/回
  • 効果: 道路復旧前に必要物資を届達

課題と対策

課題対策
航続距離中継ポイントの設置
積載量複数機での分担輸送
天候風雨に強い機体の使用
夜間飛行事前許可の包括取得

関係機関の取り組み

国土交通省

TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)

  • ドローン班を編成
  • 被災自治体への技術支援
  • 被害状況の迅速な把握

消防

緊急消防援助隊

  • ドローン隊の整備
  • 捜索救助活動での活用
  • 火災現場の状況確認

自衛隊

  • 大規模災害での情報収集
  • 物資輸送の実証
  • 民間企業との連携

民間企業

企業取り組み
KDDI災害時の通信中継
Terra Drone被害調査支援
エアロネクスト物資輸送実証

災害用ドローンの要件

機体に求められる性能

要件理由
耐風性能悪天候下での運用
長時間飛行広範囲の捜索
夜間飛行対応24時間運用
防水・防塵過酷な環境対応
簡易操作迅速な展開

推奨される機体例

用途機体例
状況把握DJI Matrice 350 RTK
捜索(赤外線)DJI Mavic 3T
物資輸送ACSL AirTruck

平時の備え

自治体向け

  1. ドローン活用計画の策定
  2. 操縦者の育成・確保
  3. 民間企業との協定締結
  4. 定期的な訓練実施
  5. 機材の維持管理

協定の例

災害時におけるドローン活用に関する協定

  • 締結先: ドローン事業者、測量会社等
  • 内容: 発災時の出動、機材・人員の提供
  • 費用: 実費精算または無償

今後の展望

  • AI による要救助者の自動検知
  • 群制御による広域捜索
  • 通信中継ドローンの常設
  • 自治体間での機材共有
  • 自動離着陸ポートの整備